梅レシピ|赤紫蘇を使った梅干しの漬け方
さまざまな料理に使える梅干し。
「梅仕事」とも呼ばれる昔ながらの手仕事に魅力が集まり、手作りで梅干し作りを行う人も増えているようです。
手間が掛かると思われがちな梅干し作りですが、基本材料は梅と塩、そして赤紫蘇と意外とシンプル。
また、同時にみょうがなどの野菜を漬けるのに使える梅酢や、赤紫蘇ふりかけが同時に作れるのも魅力のひとつです。
季節の移ろいを感じながら、梅雨から土用の頃まで時間をかけて行う梅干し作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
ご自宅で漬ける梅干しの作り方を、簡単に紹介します。
目次
漬け方の違いによる梅干しの種類
梅干しの漬け方には大きく分けて2つの種類あります。
塩漬けした梅をそのまま干した梅干しが「白梅干し」、赤紫蘇で漬けてから干した梅干しが「赤梅干し」です。
「赤梅干し」は、梅が鮮やかに赤く染まるのが特徴。
これは塩漬けした梅を赤紫蘇に漬けることで、赤紫蘇に含まれるアントシアニンという天然の色素がクエン酸と反応するためです。
梅は赤紫蘇以外にも、はちみつやこんぶ、黒糖やかつおなどで漬けることもあります。
こうした梅干しを漬ける一連の行為を「梅仕事」と呼びます。
梅干し作りに適した時期とは
梅が出回る時期は6月頃で、なるべく黄色く熟した梅を使います。
緑がかっている半熟状態の梅は、数日室温において黄色く熟すまで待ってから使うと良いでしょう。
「赤梅干し」を作る場合に必要な材料のひとつである赤紫蘇の旬は、6〜7月頃。
先に塩漬けしておいた梅に、赤紫蘇を加えて漬けます。
この工程は6月下旬〜7月上旬に行い、7月中旬以降になったら梅を干します。
冬の時期には材料が手に入らないことがあるので注意が必要です。
梅干し作りに挑戦しよう
梅干しは、身近な材料で簡単に作ることができます。
ただし梅には旬があるため、手に入れる時期は限りがあります。
また漬物容器や重石なども必要になるため、梅干し作りに挑戦したい方は予め材料や器具を揃える予定を立てておくと良いでしょう。
なお今回解説する梅干しの作り方は、塩分濃度18%に設定しています。
梅干しを作るのに必要な材料
- 漬け梅…2㎏
- 梅用の粗塩…360g(梅の重量に対し18%)
- 赤紫蘇…600g(梅の重量に対し20%)
- 紫蘇用の粗塩…100g(赤紫蘇の重量に対し17%)
- 器具消毒用の焼酎またはホワイトリカー
梅干しを作るのに必要な器具
- 漬物容器(金属以外のホウロウ、陶器、ガラス)
- 重石…2〜4kg
- 落し蓋
- ボウル
- ざる
- 布巾またはキッチンペーパー
- 竹串または爪楊枝
- 新聞紙またはラップ
- ひも
- 保存容器(ビン)
赤紫蘇で漬ける梅干し作りの手順
梅干しの下処理
傷みのない黄熟した梅をボウルに入れ水で優しく洗い、表面の汚れや雑菌などを洗い流します。
なお青みのある半熟の梅を使う場合は、洗った後に半日ほど水に浸してアクを取りましょう。
水洗いした梅をざるにのせて水切りし、乾いた布巾やキッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取ります。
傷んだ梅を使ったり水気をしっかりと切れていなかったりすると、カビや濁りの原因になるため注意が必要です。
梅の水気を拭き取ったら、竹串や爪楊枝で梅のヘタを1つずつ丁寧に取り除きます。
この時竹串で梅の皮を破いたり、表面を傷つけたりしないように気をつけましょう。
またヘタの部分には水が溜まりやすいので、しっかりと布巾で水気を拭き取るのをお忘れなく。
器具の準備
漬物容器と重石、落し蓋を消毒します。
梅干しを長期保存するためには、保存容器の雑菌除去が必要です。
消毒の方法は、「熱湯消毒」と「アルコール消毒」の2通りあります。
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- 熱湯消毒
熱湯消毒は、85℃以上の熱湯で加熱して消毒する方法です。
まずは器具をよく洗います。
サイズの大きな漬物容器は中に熱湯を注ぐ、重石と落し蓋は上から熱湯を10秒以上かけたり、ボウルに入れた熱湯に浸すと便利です。
熱湯処理が済んだら清潔な布巾やペーパータオルで水気を拭き取り、風通しの良い場所で乾燥させます。
熱湯消毒は100℃以上の熱湯で器具を煮る煮沸消毒よりは効果が劣るため、器具が乾いたらアルコール消毒を合わせて行うとさらに安心です。
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- アルコール消毒
アルコール消毒は、アルコール度数の高い酒を使って消毒する方法です。
それぞれの器具をよく洗った後、しっかりと乾燥させます。
清潔な布巾やペーパータオルに焼酎やホワイトリカーなどを染み込ませ、器具を丁寧に拭き上げます。
梅干しを塩漬けする
漬物容器の底に塩を薄くふり、梅を広げて入れ、その上から塩をふり、また上に梅を入れる、という工程を繰り返します。
残りの塩を全てふりかけたら落し蓋をし、重石を乗せます。
重石を入れた容器に新聞紙またはラップで蓋をして、ひもなどで縛っておきます。
塩漬けしてから5〜7日後、梅から出た水分(白梅酢)が全体に浸ったら、重石の重さを半分に減らします。
全体が梅酢で浸かっている状態を保つことが大切ですが、梅酢が上がりすぎている時には余分を取り除き、保存しておくのがポイントです。
なおこの白梅酢はのちに赤紫蘇の発色で活用されます。
赤紫蘇の下処理をする
両面が赤い葉が残るように傷んだ葉や枝などを取り除き、葉を破らないように注意しながらたっぷりの水で洗います。
ざるに乗せて水切りしたり布巾などを使い、水気をしっかりと切りましょう。
次に赤紫蘇のアク抜きを行います。
ボウルに赤紫蘇と半量の塩を入れて強くもみ、アクが出たら赤紫蘇を両手できつく絞ります。
アクを捨てて絞った赤紫蘇をほぐし、残りの塩をふって再びアク抜きをして汁を絞ります。
塩漬けした梅を赤紫蘇に漬ける
アク抜きが済んだ赤紫蘇に、塩漬けで上がった白梅酢を200mlほど加えてほぐします。
すると白梅酢が赤く発色して赤梅酢になり、赤紫蘇も赤く染まります。
こうして完成した赤紫蘇を塩漬けした梅干しの上に隙間なく平らに広げ、最後に残りの赤梅酢も加えます。
再び梅の上に落し蓋と重石を乗せ、新聞紙などで蓋をして、冷暗所で梅雨明けまで保存します。
梅干しを干す
梅雨が明けたらいよいよ梅を干します。
土用の時期、晴れた3日間に梅を天日干しすることを「土用干し」と呼びます。
ざるの上に、梅が重ならないように並べ、日中2〜3回裏返しながら日光に当てて夜は梅酢に戻します。
この工程を3日間繰り返した後、保存容器に入れたら1週間ほどで完成です。
一緒に漬けた赤紫蘇は、天日干しをすると、ふりかけとして食べられます。
残った梅酢はほかの材料を漬けるなど料理に使えますが、干した梅を梅酢に戻して一緒に保存してもOKです。
五代庵の梅干し商品
梅干し作りに挑戦したいけれど、梅や赤紫蘇の旬ではない冬はなかなか難しいですよね。
作業時間がしっかり取れるのか、失敗せずに美味しく作れるかと、不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
吟味した梅を使い、職人たちが熟練の技で一個ずつ丁寧に時間をかけて仕上げる専門店の梅干しは、手作りとはまた違う格別の味わいです。
おすすめの梅商品をご紹介します。
しそ漬け梅干し
五代庵の「しそ漬け梅干し」は和歌山県産の梅を使用しています。
紫蘇が豊かに香り、鮮やかな赤色が目を引く商品。
塩分は13%ほどで、食塩と紫蘇のほかリンゴ酢に漬けており、酸味がありつつ甘さと塩辛さを抑えた味わいです。
白干梅干し
五代庵の「白干梅干し」は高い香りで果肉が多く、皮が柔らかいのが特徴の紀州産南高梅を使用。
塩分は17〜26%、梅の大きさは38〜42mmほどの中粒。
塩だけで漬け込んでおり、甘みは控えめで酸っぱい梅干しです。
紀州五代梅
五代庵の「紀州五代梅」は完熟南高梅を使用した商品。
自慢の長期漬込製法でほどよく梅の酸味を残し、水飴やリンゴ酢、蜂蜜などで調味した甘みがあります。
塩分は10%で、塩辛さは控えめの梅干しです。
まとめ
1年の中で漬けるのに適した時期が限られている上、手順も多い梅干し作り。
しかし手間暇かけて作った梅干しは、長期の保存が可能で便利です。
梅干しを自宅で上手に漬けるには、まず器具の消毒が肝心。
また、塩漬けの際に梅酢が全体に行き渡るようにすることがポイントです。
漬ける工程で作られた梅酢や赤紫蘇も活用すれば、食卓のレパートリーが増えますね。
まずは梅商品を試して、好みの味や塩分濃度などを参考にしてみるのもおすすめですよ。