自家製梅酒の実を「しわしわ」にさせない方法は?3つの対策とおすすめの作り方
自分で梅酒を作った時、梅の実がしわしわになっていた経験はありませんか?
味自体は美味しく作ることができても、梅の実がシワだらけだと失敗したと感じてしまう人は少なくありません。
自家製梅酒で梅の実がしわしわになってしまうのにはどのような理由があるのでしょうか?
梅の実がシワだらけになる理由と、その対策をご紹介します。
目次
梅酒の実がシワになる理由
初めに知っておきたいのが、「梅の実がしわしわ=失敗」というのは誤りだということです。
梅の実がシワだらけでも梅酒作りは成功していますので、安心してください。
梅のシワは浸透圧が原因
梅の実にしわしわができるのは、梅を氷砂糖とアルコールに漬けているときの「浸透圧」が原因です。
浸透圧は簡単に言うと「異なる物質のバランスを均等にする力」で、梅酒作りの場合は梅と氷砂糖を加えたアルコールの間で「糖分のバランス」を取ろうとして働きます。
梅酒作りで起こる浸透圧とは?
梅酒の基本レシピに必要な材料は、梅と氷砂糖、そしてホワイトリカーのような20度以上のアルコールです。
酒税法の問題で、自家製の酒類には20度以上のアルコール使用が義務付けられているので、注意しましょう。
材料をすべて用意したら、消毒済みの保存容器に梅と氷砂糖を交互に敷き詰め、最後にアルコールを注ぎ漬けていきます。
この状態になると、梅とアルコールという異なる物質が同じ空間を共有するので、少しずつ浸透圧の作用が始まるのです。
漬け始めたばかりの時期は、梅のほうがアルコールよりも糖度が高いので、梅の実はアルコールの水分を中に取り込んで糖分のバランスを取ろうとします。
ある程度水分を取り込むことでバランスが均一になると、この浸透圧の働きは収まり、安定するのです。
梅とアルコールの糖分バランスが落ち着いてくるころ、今度は氷砂糖が少しずつアルコールに溶けていきます。
すると、今度はアルコールの糖度がじわじわと高くなるため、梅に取り込まれてエキスをたっぷり吸った水分が液体のほうにゆっくりと排出されていくのです。
これもまた浸透圧による動きで、アルコール中の糖度が急激に上がれば上がるほど浸透圧の働きも活性化し、貯えた水分を排出することになった梅の実がしわしわになります。
氷砂糖の量が多ければ多いほど糖度の差が開くので、表面のシワも付きやすくなるのです。
ちなみに上白糖で梅酒を作ると、理論上はシワがより一層付きやすくなります。
氷砂糖は時間をかけてゆっくりとアルコールに溶けていきますが、上白糖はすぐにアルコールに溶けてしまうため、梅よりもアルコールの糖度が初めから高くなり、浸透圧の働きが急速に作用するからです。
一見すると素早く水分が出て仕上がりが早まるように思えますが、梅の実の中に水分が入らないことで梅のエキスが出にくくなり、風味やコクに影響が出ます。
そういった働きも含めて総合的に見た結果、梅酒作りには氷砂糖が選択されているというわけです。
梅の完熟度にも注意
梅の実がまだ若い青梅だった場合も同様にシワが付きやすくなります。
梅の中に糖分が貯えられていないため、氷砂糖を入れたアルコールとの糖度の差が激しく、バランスを取ろうとして水分を排出してしまうからです。
こういった場合、梅の実は水分を排出してアルコールとの糖度バランスを取ろうとしただけですので、梅の実がしわしわになったからといって失敗ではありません。
梅のエキスが排出されただけで悪くなっている訳ではないので、シワのない梅と同様に食べてもOKです。
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対策1:梅の実に穴を開ける
梅の実にシワがあっても品質に問題はありませんが、見た目も美しい梅酒を作りたい場合は、ほんの少し工夫を取り入れましょう。
ひと手間かけることでふっくらとした梅のまま仕上げることが出来ます。
梅の実に竹串や爪楊枝などで穴を開けて梅の細胞壁を壊しておくことで、シワを防ぎやすくなります。
細胞壁が壊れたことでアルコール内の糖分が梅に浸透していき、急激な浸透圧を抑え、シワができにくくなるというわけです。
梅の実の中に水分を貯めておけるので、ふっくらした状態も保ちやすくなります。
対策2:冷凍した梅の実で漬ける
梅の実を冷凍してから漬けることでもシワを防ぐことができます。
冷凍によって梅の実の細胞壁を壊し、急激な浸透圧効果を抑えることが可能になるためです。
梅の実は冷凍する前にしっかりと洗浄し、1つ1つ丁寧に拭いて水分を取り除いておきましょう。
少し手間ではありますが、美味しい自家製梅酒を作るために必要な作業です。
関連記事:冷凍梅干し活用術!おやつや料理に活躍する保存・解凍方法とレシピを紹介
対策3:アルコール度数の高いお酒に漬ける
詳しい理由は明確に判明していませんが、アルコール度数の高いお酒に漬けるとシワになりにくいとされています。
例えばホワイトリカーは甲類焼酎に分類されますが、甲類焼酎製造上の法律遵守のため最大の度数が35度です。
ウォッカなどはホワイトリカーよりもアルコール度数が高いので、こちらで漬けたほうがシワになりにくいと言われています。
ただし、無味無臭で梅酒の本来のコクを引き出しやすいホワイトリカーとは異なり、ウォッカやブランデーにはそれぞれに独特の風味があります。
この風味は仕上がりに影響しますので、どんな仕上がりが良いかを考えた上で種類を選ぶようにしてください。
関連記事:時にはホワイトリカー以外で!自分好みの「梅酒」を作ってみよう
それでも解決しない時の対処法は?
ここまで3つの対策をご紹介してきました。
それぞれを試してみてもなおしわしわになってしまう場合や、時間経過とともに梅酒が濁っていく場合は、以下の可能性が考えられます。
- お酒の分量に対する梅や砂糖の量が多い
- 梅の洗浄後、水分をしっかりふき取れていない
- 瓶など保存容器の消毒が不十分である
- 使用したリカーの度数が低い
先にも述べたように、梅の実がしわしわになるのは浸透圧の問題なので、梅酒の品質に影響はありません。
梅の見た目はいまいちかもしれませんが、美味しく召し上がってください。
なお、上記のポイントを1つずつ丁寧に行うことで改善される可能性があります。
次回の梅酒を仕込む際、作り方に気を付けましょう。
しかし、梅酒が濁ってしまった場合は品質に影響がありますので対処しなければなりません。
濁ってしまった時の対処方法は以下の通りです。
- 漬けていた梅をすべて取り出す
- 梅酒液を清潔なガーゼや手ぬぐいなどで濾し、消毒した保存容器に移し替える
その後は通常と同じく、直射日光の当たらない冷暗所で保管します。
取り出した梅の実は梅酒に戻さず、ジャムや料理に活用して食事のお供にしてください。
活用情報は以下の記事にも掲載しておりますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
関連記事:梅ジャムレシピ|梅酒の梅を使って簡単でおいしいジャムを作ろう
自家製梅酒と専門店の味を飲み比べてみよう!
自家製梅酒は、材料さえ揃えれば簡単に作ることができます。
自分好みの甘さに調整できるのも手作りのいい所ですので、梅酒が好きな方は是非一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
自家製梅酒が完成したら、専門店の梅酒と飲み比べをするのもおすすめです。
専門店との間でどういった違いがあるのか、飲み比べながら自分の好みを探していくのも楽しいので、試してみてください。
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