【紀州梅専門店直伝】簡単に出来る自家製梅干しの作り方

梅干しは、自分で作ることで自分好みの味に調節ができるため、自宅での梅干作りに興味を持つ方も少なくありません。
しかし、実際に梅干しを自分で作るとなった場合、必要な材料や作り方が分からない方も多いでしょう。

そこで今回は、初めて梅干し作りに挑戦する方に向けて、一般的な梅干しの作り方を解説します。
ひと手間加えるだけで作ることができる、
しそ漬けや、人気のあるはちみつ漬けのレシピも紹介するため、梅干し作りで失敗したくない方は是非参考にしてください。


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目次

    梅干しの作り方の流れ

    梅干し作りは、梅が旬を迎える6~7月に行います。完熟した梅を使用すると、追熟やアク抜きなどの手間がかかりません。そのため、完熟梅が市場に出回る6月中旬ごろから、梅干し作りに取り組むことをおすすめします。

    梅干しの作り方の基本的な流れは、以下の通りです。

    時期:6月中旬

    梅を塩に漬け込みます。通常、1週間ほどです。

    時期:6月下旬

    赤紫蘇などを加えた後、2週間ほど漬け込みます。

    時期:7月中旬

    3~4日間ほど天日干しを行います。

    上記はあくまでも目安であるため、時期が前後しても構いません。
    梅を購入した時期に合わせて、スケジュールを立てましょう。

    梅干しのレシピ【赤紫蘇】

    まずは、一般的な梅干しの作り方を必要な材料と道具、手順に沿って紹介します。
    道具は使用する直前に良く洗い、熱湯(ビニール袋以外)で消毒してしっかりと乾かしましょう。
    さらにアルコールを霧吹きで吹き付け、消毒してから使用します。

    2-1.紫蘇漬けで必要な材料・道具

    赤紫蘇を使った梅干し作りに必要な材料と道具は以下の通りです。
    今回は、2kgの完熟梅を使用します。

    なお、赤紫蘇が店頭に並ぶ時期は限られているため、紫蘇を見かけたタイミングで購入することをおすすめします。

    梅の塩漬けで使用する材料(STEP①~④)

    完熟梅 2kg

    梅の良い香りがして、全体的に黄色く(一部赤みがかっている)完熟しているものを使用します。
    青みが残っている実の場合は、追熟が必要です。風通しの良い室内に常温で数日置いて、熟しきったことを確認してから使用しましょう。

    粗塩 360g

    粗塩は粒子が粗くしっとりとしているため、梅干し作りに最適です。
    サラサラとした精製塩は、梅の間をすり抜けてしまうため上手に漬かりません。
    また塩分が気になる方はレシピ分量より減塩される方もいらっしゃいますが、傷む恐れがありますので、長期保存を考えて分量は正しく計測しましょう。

    焼酎 1/2カップ

    35度以上の焼酎を用意しましょう。
    梅の塩付きを良くし、カビの発生を抑制します。

    赤紫蘇の下処理で使用する材料(STEP⑤~⑥)

    赤紫蘇 400g

    茎を取り除いた後の分量で、梅の20%が目安です。

    粗塩 80g

    茎を取り除いた後の赤紫蘇に対して20%が目安です。

    梅酢

    梅の塩漬けのときにできる梅酢を使用します。

    道具

    保存用の容器

    5L用
    ガラスか陶器、ホーローでできた、蓋付き(密封できればなお良し)の容器を用意します。
    金属やプラスチックでできた容器は酸や塩分に弱いため使用できません。

    竹串

    数本
    梅に付いているヘタを取るために使用します。つまようじでも可能です。

    重り

    清潔で大きめのビニール袋2枚
    水を入れて、重石の代わりに使用します。

    盆ザル

    全部の梅を並べられるだけのもの
    底が平らで、大きめの盆ざるを使用します。
    金属やプラスチックで作られたものは変質防止のために避け、竹や木で作られたものを使用しましょう。
    すだれでも代用できます。

    布巾

    乾いた清潔なもの数枚

    消毒用のアルコール

    エタノールか焼酎

    2-2.STEP①梅を選別して水洗いする

    はじめに、購入した梅を選別します。カビや濁りの原因となるため、傷みがある梅は取り除きます。
    皮の表面が茶色に変色している程度であれば、問題ありません。完熟した梅はとても柔らかいため、傷をつけないように慎重に扱いましょう。

    梅の選別が終わったら、一粒ずつ竹串で黒いヘタを取ります。梅のヘタを除いたら、ボウルなどに移し、流水で優しく手洗いしましょう。梅を傷めてしまうため、スポンジや洗剤は使用しないでください。梅を水洗いした後は、一粒ずつ乾いた布巾などで水気を切ります。

    完熟梅が手に入らず、代わりに青梅を使用する場合はアク抜きを行います。梅が黄色くなるまで追熟させた後、バケツなどに水と梅を入れて5~6時間ほど置くと、梅からアクが抜けます。青梅を追熟させない場合は、10~12時間ほど水に漬けましょう。

    2-3.STEP②梅に焼酎を吹きかける

    次に、梅の下処理を行います。梅をボウルやトレイに移し、焼酎を満遍なくまぶしましょう。焼酎をスプレー容器に入れて吹きかけると、均一にまぶすことができます。

    また、梅をざるに入れ、ボウルに注いだ焼酎にくぐらせる方法でも大丈夫です。

    2-4.STEP③梅を塩漬けにする

    梅の準備ができた後は、消毒済みの容器の底に薄く塩を振ります。梅を敷き詰め、上から満遍なく塩を振りかけましょう。
    さらに梅を敷き詰め、塩を振り、といった作業を交互に繰り返します。ここまでに使用する塩の量は、全体の2/3程度です。全部の梅を並べ終わった後は、残りの塩で梅全体を覆うように振りかけます。

    次に、2枚重ねにしたビニール袋を梅に満遍なく重みが掛かるように容器の中に広げ、容器のふち辺りまで袋の中に水を注ぎましょう。

    ビニール袋がない場合は、中蓋(落し蓋)をしてから梅の2倍ほどの重さがある重石などを乗せます。中蓋もない場合は、大き目で平らなお皿でも代用が可能です。

    青梅を使用する場合は、重石の重量を調節する必要があります。青梅は完熟梅よりも硬さがあるため、より重い重石を使用しなければなりません。重量の目安は、完熟梅に使用する重石の1.5倍ほどです。ビニール袋に入れる水の量を増やすなどして調節してください。

    2-5.STEP④梅酢が上がってから保管する

    ごみや虫などの混入を避けるため、しっかりと蓋を固定してから、温度変化の少ない日陰で保存しましょう。

    梅酢(白梅酢)が上がってくる期間には、数日~1週間ほど必要です。
    梅酢が梅に被る程度になった後は、梅が潰れてしまわないよう、重りの量を半分くらいまで減らします。

    ただし、梅全体が梅酢にしっかりと漬かり、空気に触れていない状態を保つことが必須です。

    梅酢の上がりが遅い場合は、重石の重量を増やしましょう。ビニール袋の水量を増やすほか、20%の塩水を足す方法でも梅酢の上がりを早めることが可能です。重石が浮いてくる場合は、ビニール袋の水量を増やしてください。

    1週間ほど経過し、梅酢が十分に上がってきたら、余分な梅酢を取り出します。容器に残す梅酢は、梅がかぶる程度です。梅酢は赤紫蘇の下処理にも使用するため、捨てずに保管しておきましょう。

    2-6.STEP⑤赤紫蘇の下処理を行う

    梅の下漬けを終えたら、次は赤紫蘇を加えます。赤紫蘇はアクを抜く必要があるため、事前に下処理を行いましょう。赤紫蘇の下処理の手順は、以下の通りです。

    下処理

    1. 赤紫蘇の太い茎を取り除きます。
    2. 赤紫蘇の葉をたっぷりの水で数回洗い、汚れを落とします。
    3. ざるに上げて水気を切り、半日ほど置きます。
    4. 軽く乾いた赤紫蘇と塩の半量を、大きめのボウルに入れて揉み込みます。
    5. 赤紫蘇はしっかりと絞り、出てきたアク入りの汁は全て捨てます。
    6. 残りの塩を加えて再度よく揉み込み、きつく絞って別の器に移します。
    7. 赤紫蘇が浸る程度の梅酢を加えて、軽くほぐします。

    下処理のポイントは、赤紫蘇のアクをしっかりと抜くことです。</span >アク抜きが不十分な状態だと、梅干しの仕上がりが黒っぽくなります。

    なお、今回紹介している赤紫蘇の量(梅の重量の20%)は、紫蘇の色味・風味が強く出る分量です。赤紫蘇の色・風味を抑えたい方は、赤紫蘇の量を調節しましょう。赤紫蘇の量は、梅の重量の10~20%が適しています。

    2-7.STEP⑥赤紫蘇を梅の塩漬けに加える

    赤紫蘇をほぐしている中で赤紫蘇の色が梅酢に移ったら、塩漬けした梅に赤紫蘇を満遍なく広げてください。

    赤紫蘇を添加した後は、再度重石を乗せて2週間ほど漬け込みます。漬け込むうちに梅酢が上がり、容器内の水分が中蓋の上面から2cmほど増えてきたら、重石の重量を軽くしてください。

    なお、漬け込んでいる間は、カビに注意する必要があります。
    赤紫蘇に生えたカビは、カビ部分だけを取り除くだけで対処可能です。

    梅などに白い膜のようなカビが生えた場合は、カビが生えている梅と周囲の梅酢をお玉などで取り除いてください。取り出した梅と梅酢は、火を通すことで消毒できます。火を通した梅は、しっかりと乾かしてから容器に戻しましょう。

    2-8.STEP⑦3日間天日干しする

    天日干しを行うことで、梅干しの保存性が向上するだけでなく、果肉に適度なねっとり感が生まれます。
    天日干しにかかる期間は梅のサイズによって異なり、L・2Lサイズは3日間、3L・4Lサイズでは4日間必要です。梅雨の時期に重なることが多いため、事前に天気予報をチェックし、晴天が続く日を見計らって天日干しを行いましょう。

    天日干しの手順は、以下の通りです。

    1. 梅を傷つけないように取り出します。
      取り出した赤紫蘇は、十分に水気を切ってください。
    2. 梅同士がくっつかないように間隔を空けて盆ざるに並べます。
      同様に、赤紫蘇も1枚ずつ並べてください。
    3. 日が当たる風通しの良い場所に干し、日が落ちる頃にはざるごと室内に取り込みます。
      L・2Lサイズは1.5日間、3L・4Lサイズでは2日間ほどが目安です。
    4. 2日(1.5日)干した後は、朝干す前に全ての梅をひっくり返します。
    5. さらに2日(1.5日)同じように干します。

    皮の表面にしわが寄り、果肉が軽くつまめるくらいの柔らかさになれば完成です。

    2-9.STEP⑧好みの方法で梅干しを保存する

    梅干しの保存方法は、2種類あります。1つ目は梅酢に漬けずに保存する方法、2つ目は梅酢と一緒に保存する方法です。保存方法により梅干しの風味が変化するため、好みの方法で保存しましょう。

    梅酢に漬けずに保存する場合、梅の水分が抜けないよう、しっかりと密封してください。保存する際に少量の砂糖を加えると、まろやかな味に変化します。

    保存方法:梅酢に漬けずに保存する場合
    • 梅干しの色は控え目になる
    • 果肉はねっとりとした食感となる
    • 酸味が控え目で、全体的に丸い味となる
    保存方法:梅酢と一緒に保存する場合
    • 赤紫蘇の色が映えるようになる
    • 果肉のみずみずしさが強くなる
    • 梅酢に漬けず保存した場合より、酸味が出る

     

    保存容器は、ビンやホーロー容器、ガラス容器、ジップロックなどを使用してください。保存容器に詰めた梅干しは、常温の冷暗所に置けば、長期保存ができます。

    なお、干したばかりの梅干しは、そのまま食べることも可能です。3ヵ月ほど熟成期間をおくと、塩気がとれてより美味しく食べられます。

    また、容器に残った梅酢や赤紫蘇はさまざまな用途・料理に活用できます。
    たとえば、赤紫蘇を細かく粉末状にすることで、自家製のゆかりを作ることができます。梅酢は、赤紫蘇ジュースとして活用することも可能です。梅酢や赤紫蘇を捨ててしまうことはもったいないため、別に取り分けて保存するとよいでしょう。

    梅干しのレシピ【はちみつ】

    ここからは、はちみつと一緒に漬け込む梅干しの作り方を紹介します。はちみつ梅干しの特徴は、梅干し特有の酸っぱさが抑えられ、まろやかな味に仕上がることです。

    はちみつ梅干しは、少しの材料と手間を追加するだけで手作りができます。難しい工程も存在しないため、興味のある方は挑戦してみてください。

    3-1.はちみつ漬けで必要な材料・道具

    しそ漬けの梅干しを作る場合は、梅酢が上がってきた段階で、下処理が終わった赤しそを加えます。
    はちみつ漬けの梅干しを作る際は、下記の材料と道具を用意しましょう。

    材料

    完熟梅 2kg

    全体に黄色がかった熟した梅を使用

    粗塩 360g

    梅の18%が目安

    焼酎 1/2カップ

    35度以上の焼酎、ホワイトリカーでも代用可

    はちみつ 80g

    梅の4%が目安

    氷砂糖 120g

    梅の6%が目安

    梅に対して10%の割合であれば、どちらか一つで作っても構いません。

    道具

    • 保存用の容器(ガラスか陶器、ホーローでできた蓋付きのもの)
    • 竹串またはつまようじを数本
    • 重石または大きめのビニール袋
    • 盆ざる(全ての梅を並べるほどの大きさ)
    • 布巾を数枚
    • 消毒用のアルコール(焼酎またはエタノール)

    3-2.STEP①梅を下処理する

    はちみつ漬けで使う梅の下処理は、梅の選別・ヘタ取り・水洗い・焼酎の吹きかけの順に行います。購入した梅に青味が残っていれば、下処理を行う前に黄色くなるまで追熟しましょう。

    梅を漬け込む際に傷みがある梅が混ざっていると、その部分からカビが生えてしまいます。そのため、梅に傷がないか、一つひとつ確認しながら選別しましょう。選別と同時に梅のヘタを取ると、時間を節約できます。竹串などを使ってヘタをくり抜きましょう。

    次に、梅をボウルなどに移し、流水で手洗いします。乾いた布巾などで梅の水分を拭き取ったら、梅に焼酎を吹きかけてください。焼酎はスプレー容器に入れて使用すると、梅全体に満遍なく行き届かせることが可能です。

    3-3.STEP②梅に塩とはちみつをまぶして漬ける

    梅の下処理が終わったら、塩とはちみつで漬け込みます。

    作業前に容器を焼酎で拭き、消毒しましょう。
    焼酎で消毒したら容器に塩を薄く振り、あらかじめ塩とはちみつを混ぜておきます。容器に梅を敷き詰めて上から混ぜた塩とはちみつをまぶす、という作業を繰り返します。全ての梅を入れ終わったら、残った塩を梅の上に乗せてください。

    3-4.STEP③梅酢が上がったら氷砂糖を入れる

    塩とはちみつに漬けた梅に重石を乗せて保管すると、徐々に梅酢が上がります。重石がない場合は、梅を入れた容器に2枚重ねにしたビニール袋を被せ、袋の中に水を入れることで重石の代わりとなります。

    梅酢が上がる期間の目安は、1週間ほどです。氷砂糖は2回に分けて入れるため、梅が被るくらいまで梅酢が上がってきた段階で、氷砂糖の半分を入れましょう。最初の氷砂糖が溶けた頃合い(3日ほど)を見計らって、残りの氷砂糖を入れてください。

    今回の方法では、漬け込むときに塩とはちみつを混ぜた後、氷砂糖を2回に分けて投入します。はちみつだけもしくは氷砂糖だけで作る場合は、梅を漬け込むとき・梅酢が上がったとき(2回)の合計3回に分けて、はちみつまたは氷砂糖を入れてください。複数回に分けることで、梅干しの皮を柔らかく仕上げる効果が得られます。

    3-5.STEP④3日間天日干しする

    氷砂糖の投入後から2週間以上保管したら、天日干しを行います。天日干しを行うと、梅の皮が柔らかくなります。天日干しは梅雨の時期と重なりやすいため、事前に天気予報を確認してからスケジュールを組んでください。

    天日干しでは、梅を一粒ずつざるに並べ、日当たりの良い場所に置きます。日が暮れてきたら、梅干しを並べたざるを屋内に移しましょう。このサイクルを3日間繰り返します。梅干し全体に日光が当たるように、2日目の朝もしくは昼頃に梅をひっくり返してください。

    漬けた梅干しはすぐに食べられます。保存料が入っていないので、早めにお召し上がりください。

    梅干しの作り方まとめ

    ここまで、通常の梅干しと、しそ漬けやはちみつ漬けの梅干しについて、作り方を解説しました。

    梅干しを漬けている際にカビが発生した場合でも、すぐに捨てる必要はありません。梅酢に少しカビが浮いている程度であれば、清潔な道具で取り除くことが有効です。梅自体にカビが付いている場合は、35℃以上の焼酎で洗ってから清潔な布などで拭きましょう。

    自家製の梅干しは、市販のものとはひと味違った格別な味わいです。 どんな美味しい料理よりも自分で作ったものが一番思い入れがあります。この記事を参考にして、梅干し作りに挑戦してください。
    慣れてきたら料理に使ったり、梅酒作りにも挑戦してみてください。

    梅干し

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